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ニュージーランドで3か月ちょっと車中泊をしたとき、電源は12V 100AhのAGMディープサイクルバッテリーと100Wソーラーパネルを組み合わせた。走行充電も、家庭用コンセントからの充電もなし。スマホやiPad、照明などを100Wソーラーだけで使っていた。

今、日本でキャンプや防災のために用意するなら、自分はポータブル電源を選ぶ。一方、また数か月単位で車内生活をするなら、DIYサブバッテリーを組むと思う。どちらが上かではなく、電源をどこで使うか、車内をどう作るかで答えが変わる。

Honda Odysseyの車内に置いたベッドとDIY電源設備
後部座席側から見た車内。ベッドと電源設備を使える位置に配置した。

結論:キャンプ・防災ならポタ電、長期車中泊ならDIY

比べる点 ポータブル電源 DIYサブバッテリー
使い始めるまで 本体を充電すれば使える 部品選び・固定・配線が必要
持ち運び 家、車、キャンプ場へ移せる 基本的に車内に固定
車内スペース 一つの箱を置く場所が要る 部品や端子を分散配置できる
拡張・交換 対応機種・専用部品に左右される 部品ごとに見直しやすい
向く使い方 キャンプ、防災、週末の車中泊 車内で暮らす期間が長い場合

ポータブル電源なら家でも使え、キャンプにも持っていける。設置工事もいらない。逆に、毎日過ごす車内では「大きな箱をどこに置くか」が意外と重要になる。DIYならバッテリーはベッド下、USBは手元、チャージコントローラーは壁面という具合に分けられる。この違いが、長期車中泊では大きかった。

実際に使っていた100Ah+100Wソーラーの構成

使っていたのは、12V 100AhのAGMディープサイクルバッテリー、100Wソーラーパネル、ソーラーチャージコントローラー(SCC)、ヒューズボックス、USB電源、12Vシガーソケット、車内LED。充電はソーラーだけだった。走行充電器もAC充電器も付けていない。

木製棚の下に設置した100Ah AGMサブバッテリーと充電設備
100Ah AGMバッテリーは車内の木製棚の下へ。

「100Ahは何Whか」と聞かれれば、12V × 100Ahで公称約1,200Wh。これは単位を換算した計算値で、自分が実際に取り出した電力量ではない。AGMは鉛バッテリーなので、寿命を考えて深く放電しすぎない運用が必要だ。たとえばRenogyの100Ah AGM製品は、放電深度50%を超えないよう勧めている。ただし、自分が使ったバッテリーの銘柄や劣化状態、使える電力量を測ったわけではないため、「実際に600Wh使えた」とは言えない。Renogyの100Ah AGM仕様・使用上の注意

3か月以上使って、実際どうだったか

充電していたのは、スマートフォン、iPad、懐中電灯、イヤホン、モバイルバッテリーなどの小物。車内LEDも使った。体感ではスマホの充電がいちばん電気を使っていた。

この使い方では、残量をほとんど気にせず過ごせた。晴れた日は余裕があり、雨や曇りが3〜4日続いても特に心配しなかった。バッテリーを空に近いところまで使ったこともない。100Wパネルの発電に不満はなく、気になったのはむしろパネルの物理的な大きさだった。

ニュージーランド滞在中に撮影した、羊がいる牧場と雲の広がる空
ニュージーランドで見た牧場の空。

写真を見返すと、電気の心配をしていた記憶より、こういう景色のほうが先に浮かぶ。小物中心なら、それくらい気楽に使えていた。

ただし、これは自分の使用量での話。ワットメーターで発電量や残量を記録していたわけではない。車載冷蔵庫、電子レンジ、IH、ドライヤー、大型暖房は使っていなかった。冷蔵庫を毎日回す人に、この3か月の感覚をそのまま当てはめることはできない。

車中泊で使用していた天井沿いのLED照明
車内LEDもこのサブバッテリーから使っていた。

DIYサブバッテリーで一番面倒だったのは配線

DIYで苦労したのは配線だ。ケーブルや端子を選び、ヒューズ、SCC、USB電源、12Vソケットをつなぐ。電源を使いやすい場所に置ける反面、その自由度の分だけ考えることが増える。

車内のヒューズボックスとソーラーチャージコントローラーの配線
ヒューズボックス、SCC、各端子へ向かう配線。
車内で使っていたUSB端子と12Vソケット、LEDの調光器
USBと12Vソケットは手の届く位置に配置した。

短絡や発熱を防ぐため、線の太さ、ヒューズの位置、バッテリーの固定、充電器との適合はきちんと確認したい。配線に自信がなければ、車の電装を扱う専門店に相談するのがいい。長期車中泊ならDIYの利点は大きいが、誰にでも気軽に勧められる作業ではない。

ポータブル電源なら何が変わる?

ポータブル電源は、バッテリー、充電制御、AC・USBなどの出力が一つにまとまっている。対応するソーラーパネルをつなげば、基本的には本体とパネルで運用できる。家で充電し、車に積み、キャンプ場へ運び、停電時は家で使える。DIY電源を車に固定していた自分から見ると、これはかなり便利だ。

一方で、1000Wh級はそれなりの重さと設置面積がある。車内で毎日暮らすなら、通路やベッド下収納との取り合いを考えたい。使う場所を動かすならポータブル電源、車内の定位置で使い続けるならDIY、という分け方が自分にはしっくりくる。

防災・キャンプ用途なら何Wh必要?

容量は「何を何時間使うか」から逆算する。Whは電力量、Wはその瞬間の消費電力。たとえば10Wの照明を4時間使えば、計算上は40Whだ。ただし、機器側の実消費電力は設定によって変わり、ポータブル電源にもAC変換や待機電力などのロスがある。公称容量を丸ごと使える前提にはしない。

冷蔵庫なしなら500Whクラスも候補

スマホ、LED、タブレット、小物の充電が中心なら、500Whクラスから考えられる。試算例としてスマホ2台で40Wh、LED照明10W×4時間で40Wh、タブレット30Wh、小物20Whなら合計130Wh。これは実測値でも特定製品の保証値でもなく、各機器の充電量・使用時間を置いた計画用の例だ。PCを長く使うなら、その分を足す。停電が何日続く想定か、再充電できるかも同じくらい大切になる。

20〜30L車載冷蔵庫を使うなら700〜1000Wh前後から

容量選びの分かれ目は、コンプレッサー式の車載冷蔵庫を使うかどうか。たとえばアイリスオーヤマの20L・30Lモデルは、公称消費電力がECOモード30W、MAXモード45W。ただしコンプレッサーは温度に応じて入切するので、45W×24時間を1日の消費量とするのは不適切だ。メーカーはこの製品の24時間消費電力量を示していない。アイリスオーヤマ20L製品仕様20L・30L共通取扱説明書

計画上、仮に30Wで1日8時間動けば240Wh、45Wで8時間なら360Whになる。稼働8時間は仮定であり、メーカー公称の1日値でも筆者の実測でもない。暑さ、設定温度、開閉回数、中身の量で変わるため、購入する冷蔵庫の実測レビューや自宅での消費電力量確認も使って余裕を見たい。700〜1000Wh前後は、冷蔵庫と小物を1日程度使うときの検討開始点であり、日数を保証する容量ではない。

冷蔵庫+電気毛布なら1000Wh以上も見る

冬に電気毛布を足すと、必要量は一気に増える。パナソニックの電気しき毛布DB-U12Tは定格54W。仮に54Wで6時間使うと324Whになるが、温度調節で通電が変わるため、これも上限寄りの単純な計算例だ。パナソニック公式仕様。冷蔵庫と一緒に使うなら1000Wh以上を見始め、まず実際に必要な夜間使用時間を決めたい。

停電時の1日を計算してみる

家庭用の大型冷蔵庫ではなく、20〜30Lの車載冷蔵庫を使うモデルケース。冷蔵庫は前述の仮定で240〜360Wh、スマホ2台40Wh、LED照明40Wh、小物充電20Whとすると、機器へ届けたい電力量は合計340〜460Wh/日。さらに変換・待機のロスと天候の悪化分を見込む。電源の公称500Whだけで「1日確実」と判断するのは窮屈だ。

冬に電気毛布を6時間使う例では、最大324Whを追加して664〜784Wh。夏にUSB扇風機を使うなら、その機種のW数×使用時間を足す。冷蔵庫の稼働時間も毛布の通電率も条件で大きく変わるので、この表は買い物の答えではなく、自分の機器で計算し直すための下書きだ。

100Wソーラーは足りる? 200Wを考える場面

自分の100Ah AGM+100Wソーラーは、小物中心なら3か月以上困らなかった。ただし、冷蔵庫を常時使って1000Wh級のポータブル電源を補充する話は別。パネルの100W・200Wは理想条件での定格出力で、実際は天気、角度、季節、温度、影で変わる。200Wなら必ず100Wの2倍の電力量が取れる、とも言えない。

現行のEcoFlow DELTA 3 Plusはソーラー入力上限1000W、BLUETTI AC180は500W、Jackery 1000 New V3はソーラー入力上限400W。どれも100Wか200Wのパネルをつなぐ際は、入力電圧・電流・端子の適合確認が必要。冷蔵庫を継続運用するなら200W級のパネルを検討する理由はあるが、曇天が続くならパネルを増やしても発電は限られる。AC充電や車からの充電も含めて考えたい。EcoFlow公式仕様BLUETTI公式仕様

車のそばで屋外に設置した100Wソーラーパネル
実際に使っていた100Wパネル。写真の場所や角度によって発電量は変わる。

ポータブル電源を選ぶなら、ここを比べたい

ここからは、ポータブル電源が自分の用途に合う人向けの候補。順位は付けない。3機種とも現行の公式ページを2026年9月23日に確認した。販売価格はセールで頻繁に変わるため固定額では比較しない。

機種 容量/定格出力 重量 AC充電 ソーラー入力上限 保証
Jackery 1000 New V3 1024Wh/1500W 約10.6kg 通常約73分、緊急モード最短50分 400W 公式購入で5年
EcoFlow DELTA 3 Plus 1024Wh/1500W 約12.5kg 最短56分 1000W(500W×2) 5年
BLUETTI AC180 1152Wh/1800W 約16.4kg ターボ約1.3〜1.8時間 500W 5年

持ち運び重視ならJackeryの約10.6kgが目に入る。短時間のAC充電やソーラー入力の幅を見るならEcoFlow。容量と出力、実際の販売価格の釣り合いを見たいならBLUETTIも候補になる。どれもメーカー公称仕様で、筆者が使って比較した製品ではない。細かな端子、充電条件、保証の適用条件、当日の価格は公式ページで確認してほしい。

Jackery 1000 New V3の公式仕様 / EcoFlow DELTA 3 Plusの公式仕様 / BLUETTI AC180の公式仕様

最後に:電源の置き場所まで考える

小物だけを使っていた自分には、100Ah AGMと100Wソーラーで十分だった。ただ、その経験をもって「冷蔵庫も100Wで足りる」とは言えない。消費する機器が変われば、必要な電源も変わる。

ニュージーランド滞在中に撮影した星空と天の川
滞在中に撮った夜空。夜の車内でも、使っていた電気はLEDと小物の充電が中心だった。

キャンプ、防災、週末の車中泊なら、家と車の間を行き来できるポータブル電源が便利。数か月単位で車内生活をするなら、端子を手元に、バッテリーをベッド下に置けるDIYの自由度は捨てがたい。今もう一度組むとしても、長期車中泊なら自分はこの分散配置を選ぶと思う。

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